「KITAきつね通信」の巻頭を飾る「クローズアップ北区」。今回は第21地区(田端)の株式会社イナータスを取材させていただきました。
田端駅北口を出て右へ進むと「INNATUS(イナータス)」のサインが目に入ります。普段は何気なく通り過ぎている場所ですが、改めて意識してみると、そこに本社ビルがあることに気付きます。実際に訪れてみると、まず印象に残ったのは建物そのもの。コンクリートとアルミを組み合わせた特徴的な外観は周囲の街並みの中でも存在感があります。この本社ビルは2010年度のグッドデザイン賞に輝いています。


https://www.g-mark.org/gallery/winners/9d734ba8-803d-11ed-862b-0242ac130002
今回お話を伺ったのは代表取締役社長。取材前は「化粧品の会社」という程度の認識しかありませんでしたが、話を聞くうちに、その背景には長い歴史と明確な理念があることを知りました。
ところで、最初に社長とお会いした際の率直な印象は「若い」でした。私は1973年生まれですが、同世代か、それより若い方なのではないかと思ったほどです。後で伺うと実際には私より年上とのこと。少々驚きました。
現在のイナータスはスキンケアメーカーとして知られていますが、創業当初からこの事業を手掛けていたわけではありません。会社が設立された1981年当時は、葛飾区立石でアパレル製品の製造を行っていたそうです。その後、創業者(現社長のお母さま)が化粧品による肌トラブルを経験したことをきっかけに、「本当に肌に必要なものは何か」を追求するようになりました。
そして1989年、オリジナルブランドのスキンケアシリーズを発売。同時に社名も「イナータス」へ変更されます。
「イナータス」とはラテン語で「生来の」「生まれ持った」という意味です。肌本来の力を大切にするという考え方は、この社名にも込められていました。
取材の中で特に印象的だったのは、社長が何度も「スキンケア」という言葉を使っていたことです。
「化粧品という言葉はあまり好きではないんです」
化粧品という言葉には「化けて装う」という意味合いがあります。一方、イナータスが目指しているのは、生まれ持った肌の力を生かすこと。そのため、自社を「化粧品会社」ではなく「スキンケアメーカー」と表現しているそうです。
創業当時には「ファンデーション脱いでみて」というメッセージを掲げていたといいます。現在では日焼け対策や素肌を重視する考え方は一般的になりましたが、1989年当時としてはかなり先進的な発想だったのかもしれません。
もう一つ印象に残ったのが、社員の皆さんの存在です。
取材に対応してくださった広報担当者を含め、社内でお会いした方々は皆、肌がきれいでした。社長によれば、社員は基本的にノーメイクで勤務しているとのこと。商品や理念を説明するだけではなく、自ら実践している姿がそこにはありました。
また、スキンケアというと女性向けという印象を持つ人も多いかもしれません。しかし社長によると、近年は男性利用者も増えているそうです。スポーツ選手や俳優も顧客に名を連ねるとのことで、男性の美容や身だしなみに対する意識の変化も感じました。

取材後には商品サンプルを手に取る機会もありましたが、それ以上に印象に残ったのは、創業以来変わらない考え方です。アパレル事業からスタートし、スキンケアへと舵を切ったイナータス。「化粧品ではなくスキンケア」という言葉の背景には、生まれ持った肌の力を大切にするという一貫した理念がありました。(広報委員・渡邉文重)